このサイトに使用している写真の撮影機材について
サイトの作者、宝亭鈍騎が使っている手作り品を紹介します
基本的に、ここで使っているカメラは普通のデジカメ、1万円から2万円程度で市販されている、いわゆるコンパクトデジカメというやつです。
 
しかし、この手のカメラは「行ってきました写真」を撮るにはまことに良い写りをするものですが、超接写、超望遠、極端なハイアングルやローアングルの写真を撮ろうとすると、これはなかなか難儀なのです。
 
「だったら高級なカメラを買えばいい」? これは当然。 だがしかし、鈍は赤貧洗うが如しなのだ。そして、銭はないけど暇がある。「だったら作っちゃえ」と、これまた至極当然な結論でして、【やっちまった結果】が以下の手作り品なのです。
 
そりゃまあ、元が「コンデジ」ですから、「デジいち」などにはおよびませんが、それなりに写ることは確かです。お試しあれ。♪

虫眼鏡でマクロレンズを作ろう!
写真を写す時、限度を超えて接近した場合、ピンボケ写真になってしまうことは、よく経験することですね。なぜそうなるか、興味のある方は「focus」のコーナーをごらん下さい。
 
さて、そのピンボケを防止するために、接写レンズというものが市販されていますけど、なにしろ高い! 1万数千円はするそうだ。だったら、ちょっとの手間をかけて、手作りしてしまえば100円と、廃物だけで作れるのだ。
 
以下はその作り方というほどのものではないが、作ってみた結果がどうなるかご覧いただきたい。それでもあなたは、市販品を買うか?

まずは下の写真をご覧いただきたい。
同じ虫を、別の日に、別の方法で撮影したものです。
スーパーマクロで撮影 手作りレンズで撮影
左側は、作者のカメラにある、スーパーマクロ機能を使って撮影したもの。右は手作り接写レンズで撮影したものです。両者の違いがわかりますか?
これは、作者自身、時間が経つとわからなくなってしまうほどで、私には、その違いがわかりません。

という具合に、100均で購入した虫眼鏡でそこそこ、実用に耐えられる接写レンズが出来てしまうのです。

作り方
揃える材料と道具
1. 虫眼鏡または要らなくなった凸レンズ。
虫眼鏡は、あなたのカメラレンズの鏡筒より大きくないと、「けられ」という現象が起こります。(写真の四隅に余計なものが写り込む現象を「けられ」といいます。)
2. 薄手の段ボールと厚紙。作者はお菓子の空き箱を使った。
3. 黒い布。作者は洋服の裏地を使った。
4. 木工用ボンド。黒いマジックインク。
使用した道具は、ハサミ、オルファカッターとマット、直定規。
 
作り方(ってほどでもないですけど。(^o^))
1. まず、手持ちのカメラの鏡筒の長さより3mmほど長く、カメラの鏡筒にしっくりはまる太さの筒を作ります。この筒には、補強の意味合いから、内側になる面に黒い布を貼り付けておきます。(丸める前に貼ってください)
2. 1で作った筒に凸レンズを取りつけます。
これは、1で作った筒の太さと、凸レンズの直径から、取りつける方法を考えてください。一概に「こうする」という言い方は出来ません。
3. 取りつけ方法によっては、レンズの前に、フードのようなものが出来たかも知れません。(私は出来た) で、フードにあたった光が反射しないように、黒いマジックインクでフードの内側を黒く塗っておいてください。
4. この場合、手作りレンズが固定されていませんから、カメラを下向けると抜け落ちます。そのため、出来上がった筒の外側にもう一重厚紙を巻いて指掛けとして、撮影時に軽く指で押さえると良いでしょう。
(作者は輪ゴムを巻いて済ませた)
5. 以上で完成です。(^o^)v

完成写真
外観 完成品の内側
フード部分が長すぎてけられた。(^^ゞ 完成直後の試し撮り
このレンズの利点は、超マクロであるにも関わらず、ズームが効いてしまうことです。従って、写真左下のけられも、ズームをやや望遠寄りにすることで回避できました。 また、このことは、撮影時においても有効に働くのだ。かはははは。(^o^)

100均レンズのマクロ その2
上の方法で撮ると、どうしてもレンズ脱落防止のために常時左手を添えて接写レンズを支えてなければならないわけでして、これ、なんでもないようなことだけど片手が塞がるというのは、何かと不便なものです。
たとえば、撮りにくい位置にある花を手で引き寄せておいて写すとか、ピントが合わない時に、被写体のソバに手をかざして、その手にピントを合わせるとか、どうしても左手を使いたい場面に頻繁に遭遇するわけです。
 
そこで、カメラメーカーのお仕着せで「アダプターチューブ」なるものを入手したのです。このアダプタチューブは、フィルターネジを持たないコンデジに、フィルターや、テレコンバージョンレンズを装着するためのものです。
つまり、このチューブにステップアップリングをはめ込んで、そこに手作り接写レンズを取り付ければ、手で押さえている必要はないわけです。
 
上の写真、左が完成品。右が製作途中の様子です。
レンズは、ドーナツ形に丸く切り抜いた合板を三枚準備して、レンズを挟み込んで木工ボンドで接着しました。
これがその撮影例で、それなりに迫力があるんですけど、ここで困った問題が発生したわけです。と、言うのは、このチョウセンカマキリ、地べたに這い蹲って、顔を地面に擦りつけるような姿勢で撮ったんですよ。このときはどうってこともなかったのですが、草花を撮った時に顔が何かにかぶれてしまったわけです。虫がいたのか、土に花粉などのアレルギ物質があったのか。
 
むろん、そういう使い方をしなければ、これで何も問題ないわけです。実際、今も実用に供しているわけですからね。

100均でコンパクトを買う

ここで言うコンパクトとは、ほら、女性がお化粧のときに使うあれですよ。
あれの鏡を外して、カメラのディスプレイの後ろに45度の角度で貼り付けて、鏡の3方を板で囲って、内側を黒く塗ってあるのは、明るい戸外でディスプレイを見やすくするためです。
 
こうすると、ディスプレイを上から覗けるようになりますから、低い位置から撮るときに寝そべるとかの難儀な姿勢を取らなくても、しゃがんで撮ることが出来るわけです。
 
これも、高級カメラには【アングルファインダ】というものがあるんですけど、おそらく万の単位で銭を払わないと入手出来ないでしょうなぁ。
水平撮り〜♪
歌舞伎町(東京都新宿区)で人ごみの中でしゃがんで撮るのも恥ずかしいし、第一、ヤラシイ逆さ撮りじゃないか? って疑われる心配もあるわけですけど、ここで寝そべって撮るよりはましじゃないかな?
ま、『李下に冠を正さず』ってわけで、こういう写真は撮らない方がよろしい。(^0^)
垂直撮り〜♪
これを利用すると、こういう不思議な写真も撮れるわけです。むろん真上に向かっても撮れます。

超望遠撮影
鈍はあれこれ手作りしていて、どれから説明すべきか混乱しています。ん? 今に限ったことじゃないって? ま、それはさておいて、これまで述べてきた超マクロ撮影も、これから述べる超望遠撮影も昔から知られている撮影方法なのです。
で、この超望遠撮影は『コリメート法』といわれる方法で、昔から天文写真を撮る人に利用されていたものです。が、昨今は『デジスコ』として、野鳥撮影をする人がこの撮影法を利用されています。
この撮影機材を作って売るという業者まで出現してますからすごい。(^o^)
あ、ニコンも自社製品でデジスコを実現させて、唯一カメラメーカーとして売ってますねぇ。そして高価なのだ!
 
なぁに、これも高い銭を払うことはない! 作っちゃえばいいのだ。
で、難しく考えることはないのです。
 

人間の目はカメラそっくりに出来てるわけです。ん? あ、カメラは人間の目とそっくりに出来てるわけでして、目で覗いたまんまがカメラに写るってわけです。(簡単に言えばってことですけど)
ですから、試しに万華鏡の見口にカメラレンズを押しつけて撮ってごらんなさい。ほら、写っちゃうでしょう?

これは、西伊豆のガラスミュージアムの展示品の万華鏡を撮ったものです。かなり手が込んでますねぇ。

そんなわけで、カメラの前に望遠鏡を置いてやれば、望遠鏡で拡大された画像が写し取れると、そういうことなんですよ。
 
ただですねぇ。銭がないから安く作ろうと言うわけですが、望遠鏡はちょっと高いです。と、言うのは、レンズには避け得ない[色収差]というものがあって、写真を撮る上で非常に邪魔なものなんです。
その色収差を軽減させるために様々な工夫が凝らされてます。
当然、綺麗な像を結ばせるために、望遠鏡も色収差を抑えてありますが、とくに撮影用にはフローライトとか、EDガラスを使わないと、綺麗な写真が撮れません。
 
もちろん、普通の色消しレンズを使った望遠鏡でも撮影出来ますが、撮った写真に明らかな差が出来てしまいます。
そういうわけで、鈍はEDレンズのフィールドスコープを使って作りました。
あ、試してはいませんが、反射望遠鏡を使えば色収差は避けられます。というのは、色収差は光が屈折する時に起こる現象ですから、光を屈折させない反射望遠鏡はそれが起こりません。

と、余談が長いですね。
そういう考え方から作ったのが、これです。

これを作るについて、注意しなければならないことは、

カメラのレンズは小さい方が有利です。
そりゃそうでしょう。小さい目で大きな穴を覗く方が見やすいですからね。

望遠鏡の対物レンズは大きい方が有利です。
って、これも上記と同じことです。そのためにはやたら大きな倍率を望まないことです。と、言うのは望遠鏡の倍率は、対物レンズと接眼レンズの焦点距離の比で決まるわけでして、接眼レンズの焦点距離が短いほど倍率は大きくなりますが、レンズの径は小さくなってしまいます。

望遠鏡の接眼レンズはハイアイポイントというものを選びます。
アイポイントが、カメラのシャッターの後ろに来ていないと、写真が写らないのです。そういう意味から、製作時に接眼レンズとカメラレンズを衝突寸前まで接近させて作ります。これは重要ですよ。

頑丈な三脚を使うこと。
焦点距離が3000mm前後というとんでもない長玉相当になりますから、微動だにしないことが肝要です。なお、合成焦点距離は 望遠鏡の倍率×カメラの焦点距離で計算されます。
この写真のものは、倍率20倍でカメラの焦点距離が140mm(ズーム最望遠側:35mm換算)で、2800mmになっています。

バランサーの付いた雲台を使うこと。
強引に望遠鏡とカメラを繋いでしまうわけですから、本来の望遠鏡の重心位置とずれてしまいます。そしてさらに、かなり重いものになってしまいますから、その影響を軽減するために映画撮影などで使われる仕様の雲台をお奨めします。
なお、雲台の回転軸の上に重心を置くように、バランスプレートを取り付けると万全です。

照準器が必要です。
超望遠ですから、もの凄く視野が狭くなり、結果、『針の穴から天覗く』ってやつで被写体を捉えるのが非常に困難になります。
照準器は、上の写真では望遠鏡の上に乗っている、ガラス板がはまった枠が見えているのがそれで、ダットサイトといいます。これは銃器の照準器と同様なもので市販品を購入して、望遠鏡にしっかり固着出来るようにしました。

ワイヤレリーズまたはリモコンが必要です。
カメラのシャッターボタンを直接押すと、そのショックでカメラが動いて、ぼけた写真が写ってしまいますから、これは必須です。おそらくカメラの手振れ防止機能などは役立たないはずです。

具体的な作り方
これをここで説明するのは不可能です。
なぜならば、手持ちのカメラと望遠鏡の組み合わせは千差万別。それぞれのデザインに合わせて作るわけですから。
しかし、難しく考えることはありません。まずは作ってみること。その結果を見てまた作り直す。そのうち満足するものが出来る。こんなことですから、ゆるゆると参りましょう。
どアップ〜♪
と言うわけで、こんな写真が写るんです。【カワセミ♀】

その他
左上は、ドアスコープを使って作った魚眼レンズ。右はその撮影結果です。

ちょっとした工夫さえすれば、安物のコンデジでもそこそこの写真が写せるのだと言うことはおわかりいただけたでしょうか?
これから先も、《ショボイカメラで良い写真を撮る》を基本コンセプトに工夫を続けるつもりです。時々、掲示板やブログを覗いてみてください。

 掲示板:井戸端談話室 http://www.play21.jp/bbs/idobata/index.html
 ブログ:撮歩のすすめ  http://nnm89447.at.webry.info/

長駄文におつきあい頂きありがとうございました。

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