ワシントン最強のユダヤ人シオニスト団体「AIPAC」

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アメリカのユダヤ人団体「AIPAC」(エイパック、American Israel Public Affairs Committee、アメリカ・イスラエル公共問題委員会)はシオニスト団体である。 AIPACは1953年に設立された。 AIPACは首都ワシントンで最強の圧力団体である。 AIPACはワシントンの連邦議会議事堂から歩いて数分のところに事務所を構えており、イスラエルに有利な動きを促進し、不利な動きを潰すため、アメリカ連邦議会やアメリカ連邦政府に強く働きかけることを任務としており、実質的にはイスラエルの第2外務省を演じている。 AIPACの会員は現在5万人強である。 もし、アメリカの政治家が親アラブ的な発言をしようものなら、たちまちAIPACに反ユダヤ主義のレッテルを貼られ、ナチス呼ばわりされ、政治生命を絶たれてしまう。 1984年の選挙ではチャールズ・パーシー上院外交委員長がこの憂き目にあった。

アメリカでは大統領が外交政策決定過程で非常に重要な役割を持っているが、援助金は他の予算と同じように大統領が提案して、議会が修正し決定する権利を持っている。 アメリカ連邦議会は歴代の大統領よりずっとイスラエルびいきである。 この事は、毎年大統領が申請するイスラエルへの援助金が議会によって2割近くも増額される事からも判る。 それだけでなく、アメリカ連邦議会は、イスラエルへの経済援助金の全てを会計年度の開始日から30日以内にイスラエルへ送るよう全力を尽くせという但し書きを大統領に渡す。 これも特別な関係の一面である。 因みに、アメリカの外国援助金の約半分がイスラエルとエジプトの2ヶ国に分配され、残りの半分が百何十ヶ国に分配されている。 イスラエルへの支援金は膨大で、アメリカの納税者はイスラエルに1日当たり1020万ドルも無償で与えている。

かつて、イスラエルのベギン首相がホワイトハウスを訪れ、レーガン大統領に巨額の援助を求めた。 レーガン大統領が「ご趣旨はわかるが、議会がうるさいので」と言ったところ、ベギン首相は「議会の方は私にお任せ下さい」と言ったという。 これは、ベギン首相がアメリカ連邦議会に対するロビー工作活動で如何に自信満々かを物語るエピソードだ。 アメリカ政府は対イスラエル政策で新しい決定を下す時は、駐米イスラエル大使に公式に伝える前に、しばしばAIPAC首脳に相談・打診するという。 1986年4月、AIPAC代表トーマス・ダインはワシントンでの第27回AIPAC年次政策会議の席上で次のように語った。「AIPACはホワイトハウスや議会だけでなく、国務省・ペンタゴン・財務省・CIA、更に、商務省・農務省にまで親イスラエル勢力を拡大させている」。 この発言はアメリカ・ユダヤ人ロビー(圧力団体)がアメリカ連邦議会やアメリカ連邦政府に如何に強く働き掛けてきたか、及び、そのロビー工作活動が如何に成功しているかを示している。

アメリカにおいてユダヤ人たちがどれほど政治・経済・マスメディアの分野において力を持つようになったかを示すことで、ユダヤ人がユダヤ人自身を称賛する本がアメリカのユダヤ出版社から出版された。 著者はユダヤ人ジャーナリストのJ・J・ゴールドバーグで、その本の題名は『ユダヤ・パワー〈アメリカ系ユダヤ人エスタブリッシュメントの内幕〉』(1996年)というものである。 もしも、このような内容の本を非ユダヤ人が執筆して出版したなら、その著者はアメリカのユダヤ人たち特にADL(ユダヤ名誉毀損防止連盟)の強烈な反発を受け、反ユダヤ主義者という烙印を押されてしまうだろう。 しかし、この本の著者はユダヤ人で、出版社もユダヤ系だから、彼らは黙って見過ごしている。 この本の中でJ・J・ゴールドバーグは、アメリカにおけるユダヤ人たちがどのようにして台頭してきたかを物語ると同時に、アメリカ国内で組織されているユダヤ共同体によってイスラエルはどれほどの恩恵を受けているのかを客観的に分析している。 この本の導入部分には次のようなことが書かれている。 「我々アメリカのユダヤ人は、その歴史がアメリカで始まってから350年間のうちに飛躍的成長を遂げた。 特に、政治的なことにおいて、そうである。 もはや我々の敵をアメリカにおいて見出すことは出来ない。 おそらく2000年前の離散以来、初めての現象と言えるのではないか」。 更に、このユダヤ人ジャーナリストは誇らしげに次のように言う。「世界から多くの元首や政治家たちがアメリカにやって来る。 彼らの訪問はアメリカの政治家たちに会うためではなく、国連を訪問するためである。 彼らがアメリカを訪れた時、必ず通らなければならないコースがある。 それがユダヤ共同体事務所、そして、ADLニューヨーク事務所である。 ワシントンD.C.では多くの大使館が軒を連ねているが、そのうちの13の主だった大使館の中には「ユダヤ・デスク」が設けられている。 彼らは常にユダヤ共同体との親密な関係を維持しようとしているのだ」。